再発率の高い癌は?
乳がん
乳がんは再発リスクが高い癌の1つです。特に10年以内の再発率が高く、ステージが進行するほど再発リスクが増加します。再発には、大きく分けて「局所再発」と「遠隔転移再発」の2種類があります。局所再発は、がんを切除した乳房や、手術後に残った乳腺・皮膚・リンパ節などにがんが再発することを指し、遠隔転移再発は、がん細胞が体内の他の臓器(骨、肺、肝臓、脳など)に転移して再発することを意味します。特に、がん細胞が女性ホルモンによって成長するホルモン受容体陽性乳がんは、治療後数年〜10年以上経ってから再発することがあり、長期間にわたる経過観察が必要です。再発を防ぐためには、定期検診を受け、適切な治療と長期的な経過観察を続けることが大切です。
肝臓がん
肝臓がんは治療後の再発率が非常に高い傾向にあります。5年以内に約50〜70%の確率で再発してしまうと言われています。肝臓がんの多くは肝硬変や慢性肝炎が原因で発生します。これらの病気によって、肝臓が継続的にダメージを受けて炎症が続くことで、新たながんが発生しやすい環境が作られ、再発しやすいのです。また、手術や治療でがんを取り除いたとしても、ごく小さながん細胞が肝臓内に残っている可能性があります。これらの細胞は検査では見つからないほど小さいですが、時間が経つと成長し、新たながんとして再発することがあります。再発のリスクを下げるには、治療後も肝機能のモニタリングが重要です。
すい臓がん
すい臓がんは早期発見が難しく、予後不良ながんの代表格です。治療後の再発率も高く、手術や治療を行っても5年以内に約80%が再発すると言われています。膵臓がんは初期症状がほとんどなく、進行してから見つかることが多いため、治療が遅れやすいです。膵臓は体の奥深くにあり、がんが早い段階で血管やリンパに広がりやすい臓器で、がん細胞が血流に乗って広がりやすいため、手術や治療をしても再発率が高くなります。また、抗がん剤や放射線治療が効きにくい特徴があり、抗がん剤治療後の再発率は5年以内で約90%となっています。再発兆候を見逃さないよう、定期検診を怠らないことが大切です。
癌の再発率をステージ別に詳しく解説
ステージ1:早期発見による再発リスクの低さ
ステージ1のがんは早期発見されたものです。手術や放射線治療によって、がんを完全に取り除ける可能性が高く、再発リスクは約5〜20%と比較的低い傾向にあります。しかし、完全な治癒を期待するには慎重な経過観察が必要不可欠です。
ステージ2・3:中期段階での再発リスクと治療のポイント
ステージ2・3のがんは中期の進行がんで、腫瘍が大きくなり、一部のリンパ節転移が見られる段階です。治療の難易度が高く、再発リスクも約20〜70%と高くなります。再発を予防するため、集学的治療と綿密な経過観察が重要です。再発に備えた心の準備も欠かせません。
ステージ4:進行癌における再発リスクと予後
ステージ4のがんは進行がんで、がんが他の臓器へ転移している状態です。予後が非常に厳しい状況で、治療の目的は完治よりも症状緩和と生活の質の維持です。再発した場合、治療に時間がかかり、生活の質が大幅に低下する可能性があります。
癌の種類別に見る再発率の違い
乳がん
乳がんの再発率は約20〜30%ですが、がんのタイプや病期によって大きく異なります。ステージ1では5〜10%以下と低めですが、ステージ2で10〜20%、ステージ3では30〜50%と進行するほど再発リスクが高くなります。がんの種類によっても異なり、ホルモン受容体陽性タイプは比較的再発しにくいですが、10年以上の経過で再発することもあります。トリプルネガティブ乳がんは再発率が高く、特に術後3年以内に再発しやすい特徴があります。再発を防ぐためには、治療を継続し、術後5年の定期検診を欠かさないことが重要です。
大腸癌
大腸がんはステージが進行するほど再発リスクが高まり、早期発見であれば再発リスクは低いです。ステージ1では5〜10%以下と低めですが、ステージ2では10〜20%、ステージ3では30〜40%と上昇し、ステージ4では50%以上になることもあります。再発の多くは術後3年以内に起こり、特に肝臓や肺への転移が多いのが特徴です。術後5年間の経過観察をしっかり行い、早期発見・治療につなげましょう。
肺癌
肺がんの種類や病期によって再発率は大きく異なります。非小細胞肺がんでは、ステージ1で20〜30%、ステージ2・3では50%以上に上昇します。小細胞肺がんは再発率が非常に高く、60〜80%が術後1年以内に再発します。再発は肺や脳、骨、肝臓に起こりやすいため、術後の治療が重要です。術後2〜3年が特に要注意期間で、定期検診を欠かさず受けることが再発予防の鍵となります。
癌が再発した場合に取るべき行動
がんが再発した場合には、まずは専門医による再発の確認と詳細な検査が必要です。再発の範囲や程度を正確に把握し、最適な治療法を検討することが重要となります。一方で、身体だけでなく心のケアも欠かせません。落ち込むことなく、前向きに治療に取り組むことが大切です。
再発を確認するための検査と診断方法
血液検査:がんの再発を示唆する腫瘍マーカーの上昇が見られるかどうかを確認します。腫瘍マーカーの種類はがんの種類によって異なります。
画像検査:CT、MRI、PETなどの画像検査を行い、がんの再発巣の有無や広がりを確認します。再発の早期発見に役立ちます。
組織検査:必要に応じて針生検や手術による組織採取を行い、病理検査を行います。再発かどうかを確定診断するのに有用です。
再発後の治療法
手術:再発が局所的であり、再発巣の切除が可能な場合は、手術による治療が選択されます。完全切除できれば、予後の改善が期待できます。
分子標的薬:がん細胞の特定の分子を標的として攻撃する薬です。比較的剥膜性が少なく、優れた治療効果を示すことがあります。
抗がん剤:がん細胞の増殖を抑える薬を用い、治療を目的とする治療です。特に転移がある場合や、手術が難しい場合に使用されます。
ホルモン療法:ホルモンががんの成長に関係する場合、ホルモン作用を抑える薬を使うことで、がんの進行を抑制できます。特に、乳がんや前立腺がんで効果が見られます。
放射線療法:局所の再発巣に対して、集中的な放射線照射を行う治療法です。高エネルギーの放射線を照射することで、がん細胞のDNAを損傷させ、増殖を防ぎます。特に、局所再発に対して有効となります。
遺伝子治療:がんの根本的な原因である遺伝子異常を修正したり、新たな遺伝子を導入してがん細胞を攻撃する最先端な治療法です。特定の遺伝子変異を持つがんに対して、正常な遺伝子を補充することで、がん細胞の増殖を抑えます。副作用が少なく、がん細胞のみを狙うため、正常細胞への影響が少ないのが特徴です。
まとめ
がんの再発は患者さんにとって大きな不安の種となりますが、がんの種類や進行度によって再発リスクは大きく異なります。ステージが進行するほど再発のリスクが高くなるため、早期発見と適切な治療、そして綿密な経過観察が重要となります。再発した場合には、専門医の適切な診断をうけ、生活の質を維持しながら治療に取り組みましょう。