原発不明がんってどうすれば治る?

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こちらの記事の監修医師
HICクリニック院長/医学博士

原発不明がんとは

原因不明のがんは、原発不明がん(Cancer of Unknown Primary, CUP)とも呼ばれ、全身の検査や病理診断を行っても、がんの発生源(原発部位)が特定できず、転移性の腫瘍のみが確認される状態を指します。

このタイプのがんは、診断及び治療が困難なことが多いです。

原発不明がんは従来のがん治療だと限界がある

原発不明がんは、従来の治療法では限界があります。その理由を以下にご説明いたします。

①原因部位の特定が難しい:

原発不明がんは、初発部位が特定できないため、適切な治療法を選択することが難しいです。

通常、がんの種類や部位によって抗がん剤の薬の種類や量が決定されますが、原発巣が不明のため、抗がん剤の薬剤の種類や量の決定が困難となります。

②転移が進行している可能性が高い:

原発不明がんは、転移が進行していることが多いです。

転移巣が多くどれが原発巣かを特定するのが難しいため、抗がん剤治療の選択が困難となります。

③抗がん剤耐性の問題:

原発不明がんは、転移巣が広がっていることが多く、抗がん剤治療が必要です。

しかし、転移巣は抗がん剤に対して耐性を持っていることも多くあり、治療効果が限られる場合があります。

④予後が悪い:

原発不明がんは、他のがんと比較して予後が悪いことが多いです。

早期に発見されにくく、進行が早い場合もあり、治療が難しい状態になることがあります。総じて、原発不明がんの治療は難しい課題が多くあり、新たな治療法が求められています。

原発不明がんには、遺伝子治療という新しい選択肢

がんは、遺伝子病なので遺伝子で治療することが望ましいです。

しかし、現在のがん治療は、遺伝子異常には薬で治すのが一般的です。

当院では遺伝子異常が起こっている箇所に修正する遺伝子を入れることで、がんの原因である遺伝子異常を改善することが、本来あるべきがん治療だと考えています。

遺伝子治療の仕組み

がんは遺伝子に異常が起こることで発生してしまう訳ですが、実はがんではない方々も、細胞の遺伝子異常は1日に約数百万回〜1千万回起こっています。

それでもなぜ、普段はがんにならないかというと、その遺伝子異常を自分の細胞内にある「がん抑制遺伝子」が修復してくれているからです。この「がん抑制遺伝子」の力が足りなくなったり、自らの「がん抑制遺伝子」を上回る遺伝子異常が起こった場合、がん細胞に変化してしまうのです。

当院のがん遺伝子治療は、正しくは「がん抑制遺伝子補充療法」と言い換えられます。

本来、自分がもっている「がん抑制遺伝子」が足りないことで、がんになったと考えることができるので、その遺伝子を足してあげる治療法になります。多くの「がん抑制遺伝子」の遺伝子配列は解明されているので、その遺伝子を合成して、ベクター(運び屋)を使って、「がん抑制遺伝子」をがん細胞に取り込ませる治療になっています。

遺伝子治療だと原発不明がんが治る可能性はあるのか?

原発不明がんも、原発が特定されているがんであっても、その原因は遺伝子異常によって起こっています。

そのため異常を改善することで、がんは治る可能性があります。

もちろん、病理学も大切なのですが、この原発不明がんという病名自体が、細胞病理学中心の病名なのです。

しかしながら、遺伝子医学から見れば、どんながん細胞かというよりも、どんな遺伝子異常が起こっているかが大切になってきます。いわゆる遺伝子病理学とも言えると思います。

その観点から見ると、原発不明のがんであろうと、原発が明確になっているがんであったとしても、大きく違いはないのです。

もちろん、抗がん剤治療などの標準治療も必要です。その上で、「がん抑制遺伝子」治療を重ねていくことによって、より早くがんを改善させていく事ができる可能性が高いと考えます。

従来治療(標準治療)と遺伝子治療の違い

●標準治療

標準治療は、手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線療法などの3大療法を指します。

これらの標準治療は、細胞病理学によって治療法の組み合わせを決定していくことになります。

●遺伝子治療

遺伝子治療は、がんの原因となる遺伝子異常を改善するために、「がん抑制遺伝子」を体内に導入する治療法です。体内への導入にはベクターと呼ばれる運び屋が大切になります。通常は、ウイルスベクターが多く使われる方法がありますが、当院はがん細胞と親和性の高いリポゾームベクターを開発し、がん細胞への遺伝子導入を行なっています。

遺伝子治療の特徴

がん遺伝子治療は、遺伝子の異常が原因で起こる病気を治療するための治療法です。

そのためがんの原因となる遺伝子異常を当院の「がん遺伝子診断」で見つけ、その遺伝子異常を改善することにより、がんの改善を期待する治療法です。

メリット|個別に適切な治療ができる

当院の「がん遺伝子診断」に基づいて、その方に適切ながん治療を行うことが可能になっています。

当クリニックは他社の遺伝子検査とは違い、現在251種類のがん関連遺伝子を血液検査にて調べることが可能になっています。

そのデータを元に「がん抑制遺伝子」の種類やミリ数を決定しテーラーメードな治療が可能です。またラボを併設しているので迅速に治療薬を提供することができます。

デメリット|継続的な治療

遺伝子治療によって、遺伝子異常が短期間で改善しても、さらに継続して遺伝子治療を行うことが望ましいです。

特に乳がん等の遺伝子異常を改善し続ける必要のあるがん等は長期的に遺伝子治療が必要な場合があります。

がん遺伝子治療は症状や臓器によっては早期に改善したり、長期間治療が必要な場合もあります。

遺伝子治療の治療手順

①採血による「がん遺伝子診断」の検査により遺伝子異常の特定を行います。

②「がん遺伝子診断」の遺伝子異常の結果に基づいて、薬剤(がん抑制遺伝子)の種類や投与量、治療期間を決定します。

③治療経過によっては治療中に「がん遺伝子診断」の検査を行なったり、薬剤の投与量の変更や治療方法の選択を変更する場合があります。

④通常は、遺伝子治療終了後の1ヶ月後に再度「がん遺伝子診断」の検査を行い、がん遺伝子治療の効果を判定します。

⑤遺伝子異常が改善しきれなかった場合、追加治療を行う場合もあります。

まとめ

当院では開院以来約4千人を超える患者様に遺伝子治療・がん予防を治療目的の観点でテーラーメードの治療を提供してきました。

遺伝子治療と聞くと馴染みがなく抵抗がある方もいるかもしれないですが、がんは遺伝子の病なのです。

そのため糖尿病の治療にインスリン補充が行われるように、本来自分が持っているがん遺伝子を修復する「がん抑制遺伝子」を足してあげる治療、つまり「がん抑制遺伝子補充療法」が当院のがん治療なのです。

こちらの記事の監修医師

Picture of 平畑 徹幸

平畑 徹幸

HICクリニック院長 医学博士
平畑院長の紹介はこちら

■所属団体
日本内科学会、日本抗加齢医学会、一般社団法人 日本アンチエイジング外科学会、膵臓病学会、日本遺伝子診療学会、日本人類遺伝子学会、アメリカ人類遺伝学会、A4M「米国抗加齢学会」
■著書
『がん遺伝子診断・治療のススメ がん予防・治療の新しい選択肢』、『すい臓病の原因と予防―お腹・背中・腰がモヤモヤしたら…』他

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