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スキルス胃がんってなに?早期発見のために知っておきたいこと

目次

こちらの記事の監修医師
HICクリニック院長/医学博士

スキルス胃がんとは?特徴・原因・なりやすい人の傾向

胃がんの中でも「スキルス胃がん」と呼ばれるタイプは、特に注意が必要ながんです。発見が難しく、見つかった時には進行している場合が多いため、早期発見と予防のためには正しい知識を持つことが大切です。本記事では、スキルス胃がんの特徴から予防について解説していきます。

スキルス胃がんの特徴:進行が早く発見が難しいがん

スキルス胃がんは、胃がんの中でも特殊なタイプで、一般的な胃がんとは性質が大きく異なります。通常の胃がんは、胃の内側の粘膜にできたがん細胞が徐々に大きくなり、塊を作りながら発育していきます。そのため、内視鏡検査で視覚的に確認しやすく、比較的早い段階で見つかることも少なくありません。一方でスキルス胃がんは、胃の内側に腫瘍のような明らかなふくらみを作るのではなく、胃の粘膜の下の層(粘膜下層や筋層)を這うように広がっていくという特徴があります。このため、胃の表面には大きな異常が現れにくく、内視鏡で見ても、異常が見つかりにくいのです。また、スキルス胃がんは進行がとても早く、周囲のリンパ節や他の臓器に転移しやすいという性質も持っています。

スキルス胃がんの主な原因と環境・生活習慣との関係

胃がん全体では、ピロリ菌感染や食生活(高塩分・加工食品の摂取)、喫煙、過度な飲酒などが主なリスク要因とされていますが、スキルス胃がんに関しては、はっきりとした原因がまだ完全には分かっていません。一般的な胃がんとは異なり、スキルス胃がんは比較的若い年代にも発症しやすいという特徴があります。また、ピロリ菌に感染していない人にも発症するケースがあり、一般的な生活習慣だけでは説明できない例も多く見られます。そのため、体質や遺伝的要因が強く関係していることが考えられます。

遺伝的リスクが関係?若年女性や家族歴との関連性

スキルス胃がんは、ほかの胃がんと比べて若年層、特に女性に多く見られる傾向があり、「遺伝性びまん性胃がん」という遺伝性疾患との関連が指摘されています。このタイプでは、「CDH1遺伝子」に異常が見つかることがあり、それが原因となって発症することがあります。家族の中に胃がんを経験した人がいる場合や、若い年齢で発症した親族がいる場合は遺伝的リスクに注意が必要です。

スキルス胃がんの初期症状とは?見逃されやすいサインに注意

胃の不快感・食欲不振・軽い腹部の張りなどの初期症状

スキルス胃がんの初期症状は、非常にあいまいで、風邪や胃もたれなどと似ているため見逃されやすいのが特徴です。以下のような症状がある場合には、注意が必要です。

・胃のあたりの不快感や痛み

・食欲がわかない、すぐ満腹になる

・お腹が張った感じがする

・体重が徐々に減ってきた

・胸焼けや吐き気が続く

これらは一時的な体調不良と見なされがちですが、数週間〜数ヶ月続く場合には医療機関での受診が必要です。

健診で異常なしでも安全できない理由とは

厄介な点は、健康診断やバリウム検査で「異常なし」と診断されても、実はスキルス胃がんが進行していたというケースがあることです。スキルス胃がんは表面に異常が現れにくく、健診で発見されにくいため、「異常なし」に安心しきらないことが大切です。特に、粘膜の下に広がる性質があるため、通常の内視鏡検査でも見逃されることがあります。健診で異常がなくても、胃の違和感が長引く、体重が急に減少したなどの変化がある場合には、医師に相談しましょう。

症状が出る頃には進行している可能性もある現実

スキルス胃がんは、症状が出るころにはすでに進行していることも少なくありません。がんが胃の外にまで広がっていたり、腹膜やリンパ節に転移しているケースもあります。そのため、「症状が出てから検査を受けるのでは遅い」という意識を持ち、日頃からの定期検査やリスクの把握が重要です。

スキルス胃がんを早期に発見・予防するためにできること

内視鏡検査の重要性と受けるべきタイミング

スキルス胃がんの早期発見には、精度の高い内視鏡検査(胃カメラ)が不可欠です。バリウム検査だけでは見逃されやすいため、経鼻内視鏡や色素内視鏡、拡大内視鏡など、より精密な検査を受けることで早期発見の可能性が高まります。一般的には、40歳を過ぎたら年に1回の内視鏡検査が推奨されていますが、特に以下のような方は、年1回の内視鏡検査を検討してください。

・家族に胃がんの人がいる

・胃の不快感が続く

・若くして体重減少や食欲不振がある

遺伝子検査でわかるスキルス胃がんのリスクと対策

遺伝的なリスクが疑われる場合は、E-キャドへリン(CDH1)遺伝子の変異を調べる遺伝子検査が有効です。この検査によってリスクを明確にすることで、早期に予防や対策がとれます。E-キャドへリン(CDH1)遺伝子に変異があると、生涯でスキルス胃がんを発症する確率が高くなるため、次のような対策がとられることもあります。

・定期的な内視鏡検査や画像診断

・状況により、予防的な胃の摘出手術

・家族への遺伝情報の共有とカウンセリング

当院で行うリスク評価・予防プログラムとは

当院オリジナルのがん遺伝子診断によって、現在は268種類のがん関連遺伝子から異常の有無を調べることができます。当院では、E-キャドへリン(CDH1)遺伝子を含む遺伝子変異をチェックしております。がんを発症する前の段階からこのがん遺伝子診断を行い、もし異常があった場合には、スキルス胃がんを含むがんのリスク評価・超早期発見が可能になります。遺伝子異常があった場合や、既にがんを患っている方には遺伝子治療を提案し、点滴によって異常のある遺伝子を正常に戻していきます。当院の治療は他の標準治療と併用ができ、遺伝子を正常に戻すことで抗がん剤や放射線の効き目を向上させる効果が期待できます。

まとめ

スキルス胃がんは、進行が早く、発見が遅れやすいという特徴を持つ厄介ながんです。特に若年層や女性、家族に胃がんを患った人がいる方はリスクが高いため、少しの体調の変化にも敏感になり、早めに相談や検査を受けることが大切です。症状が出た時には既に進行しているといった事態を防ぐためには、定期的な内視鏡検査や、必要に応じた遺伝子診断の活用、信頼できる医療機関でのリスク評価が欠かせません。がんは「早期発見・早期治療」が何よりも重要です。お困りの方は一度当院にご相談ください。気づきが命を守る第一歩になります。

こちらの記事の監修医師

Picture of 平畑 徹幸

平畑 徹幸

HICクリニック院長 医学博士
平畑院長の紹介はこちら

■所属団体
日本内科学会、日本抗加齢医学会、一般社団法人 日本アンチエイジング外科学会、膵臓病学会、日本遺伝子診療学会、日本人類遺伝子学会、アメリカ人類遺伝学会、A4M「米国抗加齢学会」
■著書
『がん遺伝子診断・治療のススメ がん予防・治療の新しい選択肢』、『すい臓病の原因と予防―お腹・背中・腰がモヤモヤしたら…』他

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