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血圧が高いとがんになりやすいって本当?血圧と癌の関係について

目次

こちらの記事の監修医師
HICクリニック院長/医学博士

癌と血圧の関係。高血圧は癌になりやすい?

国立循環器病研究センターによると、高血圧はがん発症および死亡リスクとなることが分かってきました。

また、東京大学の研究グループによる日本人の疫学ビッグデータの解析により、がん患者さんの高血圧が、心血管イベントの発症と関連することが明らかにされました。

高血圧で発症する癌

高血圧が原因で発症するがんには、腎臓がん、食道がん、膵臓がんなどがあると米国心臓学会の高血圧専門誌が掲載をしました。

また、名古屋大学大学院予防医学の加藤泰文氏は日本人コホートにおける高血圧と大腸がん罹患リスクとの関連を検討し、単変量解析(ひとつの対象にデータが一つしかないデータ)で、高血圧と大腸がん罹患との間に有意な正相関が認められました。

多変量解析(複数の変数に関するデータをもとに、これらの変数間の相互関連を分析する統計的技法の総称)では両者の関連は減弱したが、方向性は変わりませんでした。

この研究は大腸がん罹患歴がない35歳〜69歳の1万1578人(男性5503人、女性6075人)が対象でした。

2006年から2015年にわたり大腸がん新規罹患者を追跡して収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上を高血圧としました。

高血圧を有していたのは2913人(男性1760人、女性1153人)でそのうち高血圧未治療の方は2247人(男性1308人、女性939人)でした。結果、高血圧は未治療者だけ限定したとしても高血圧と大腸がん罹患との間に有意な正相関が認められました。

さらに、他の日本人200万人を超える研究データでは、2005年1月から2018年8月までの大腸癌発症の有無を調べ、平均1112日の追跡では6899人が大腸癌を発症しており、大腸がんの発症率は血圧が高い集団ほど高かかったとの報告があります。

また正常血圧(米国ガイドラインの正常血圧の定義)が収縮期血圧120未満/拡張期血圧80未満のグループと、ステージ2の高血圧が収縮期血圧140/拡張期血圧90以上を比較すると、ステージ2の高血圧は大腸癌が17%上昇の発症リスクが認められました。

男女別に分析すると男性ではステージ1の高血圧(収縮期血圧が130から139/拡張期血圧が80から89)では10%上昇 ステージ2では24%上昇しており、女性では正常血圧群との差は有意になりませんでした。

続いて血圧が10mmHg上昇するごとの大腸癌リスクの増加率を推定したところ、男性では収縮期血圧が10mmHg上昇すると6%、拡張期血圧が10mmHg上昇すると7%、リスク上昇が認められます。

女性では拡張期血圧のみ大腸癌リスクが4%上昇と関係することが示されました。

血圧が高いとなぜ癌になるのか

がんと高血圧の因果関係を示したデータはいまのところありません。

仮説として高血圧によって血管内膜が損傷し炎症が続くと発症リスクが高まることがあります。

東京大学の研究グループは、日本人の疫学ビッグデータを解析することで、がん患者さんにおいても日本の高血圧診断基準(収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90 mmHg以上)よりも低い軽度高血圧の段階から心不全発症のリスクが上昇することを明らかにしました。

また、高血圧と心不全リスク上昇の関係は、化学療法など積極的ながん治療を行っている患者さんでも認められました。

この結果は、観察研究であるため因果関係を示すものではありませんが、たとえがん治療中の患者さんであっても血圧の管理が重要であることを示唆するものです。
今後の研究で、がん患者さんにおける適切な高血圧の治療指針を構築していくことが求められます。

高血圧で癌になる人の特徴

高血圧と癌の根本的な原因は同じである可能性が高いとされています。その中で高血圧で癌になる人の特徴をご紹介します。

癌リスクの高い血圧の数値

大腸癌限定で言えば、高血圧のレベルが高い患者において大腸癌リスクは有意な上昇を示しました。

収縮期血圧が10mmHg上昇するとリスク上昇は4%、拡張期血圧が10mmHg上昇するとリスク上昇は8%となりました。

正常血圧群(収縮期血圧120未満拡張期血圧80未満)と比較すると、既に降圧剤服用している人も14%のリスク上昇が認められました。

高血圧になる人の生活習慣

日本人の高血圧の最大の原因は塩分の摂りすぎです。

肥満、喫煙、飲酒、運動不足、ストレスや遺伝的な体質などが組み合わさっていると考えられます。

血圧を下げると癌リスクも下がる?

アメリカ国立衛生研究所(NIH)によると、高血圧を下げることで、大腸がんや乳がんなどのリスクを下げることができるかもしれないとされています。

血圧降下剤と癌リスクの関係

① 食事の改善:塩分の摂取量を減らし、カリウムやマグネシウムなどのミネラルを多く含む食品を摂取することが推奨されています。

② 運動:有酸素運動を毎日30分以上行うことが勧められています。

③ ストレスの軽減:マッサージやツボ押しで、副交感神経を優位にし身体をリラックス状態にすると、血圧は下がりやすくなります。

④ 薬物療法:上記の方法で改善されない場合は、医師から処方される薬物療法が必要になる場合があります。ただし、高血圧の治療法は個人差があります。自分に合った治療法を見つけるためには、主治医と相談することが大切です。

HICクリニックでおすすめしている内容

先ずは生活習慣の改善で減塩食、禁煙、飲酒の制限、肥満にならないような食生活、適度な運動をお勧めしています。

当院では、キレーション治療を患者さんの状態にあわせて提案しています。

キレーションとはギリシャ語でカニのハサミを表す語源で、カニが物を挟むように薬剤が重金属と結合するためにキレート剤と命名されました。

アメリカ国立衛生研究所(NIH)における大規模調査で心筋梗塞再発、脳卒中発症等による入院の有無に関わらず、すべての観点で効果があったと発表されました。

当院では10年間3000人以上の方にキレーション治療を行い、動脈硬化改善目的で施行してきました。目立った副作用もなく、血管年齢も治療前後で若くなって調子が良くなり、降圧剤が減ったと喜びの声があります。

まとめ

高血圧はサイレントキラー(静かな殺し屋)と言われ、ある意味では無症状のがんに似ています。

どちらも早期発見、早期治療が必要ですが予防が何よりも大切かと思うこの頃です。

こちらの記事の監修医師

Picture of 平畑 徹幸

平畑 徹幸

HICクリニック院長 医学博士
平畑院長の紹介はこちら

■所属団体
日本内科学会、日本抗加齢医学会、一般社団法人 日本アンチエイジング外科学会、膵臓病学会、日本遺伝子診療学会、日本人類遺伝子学会、アメリカ人類遺伝学会、A4M「米国抗加齢学会」
■著書
『がん遺伝子診断・治療のススメ がん予防・治療の新しい選択肢』、『すい臓病の原因と予防―お腹・背中・腰がモヤモヤしたら…』他

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