原発不明がんとは、最初のがんの発生部位を特定できない病態
原発不明がんとは、転移がんが発見されたにもかかわらず、最初にがんが発生した部位(原発巣)が特定できない病態を指します。通常、がんは最初に発生した部位(例:肺がん、胃がんなど)から転移しますが、原発不明がんの場合は、様々な検査を行ってもその発生部位が特定できません。このため、治療方針の決定が難しく、患者ごとに適切なアプローチを模索する必要があります。原発不明がんは比較的まれな病態であり、全がん患者の約3~5%程度に見られます。発見時にはすでに複数の臓器に転移しているケースが多く、進行がんとして扱われることが一般的です。そのため、治療戦略の選択が非常に重要となります。
原発不明がんに従来治療は限界がある理由4つ
原因部位の特定が難しい
がんの治療では、原発部位を特定し、それに適した治療を行うのが一般的です。しかし、原発不明がんはこの特定が困難であるため、最適な治療を選択するのが難しくなります。原発巣が分かれば、それに応じた標準治療(手術、放射線治療、化学療法)が可能ですが、原発不明がんの場合はどの治療が最適か判断しづらいため、効果的なアプローチを選ぶことが課題となります。
転移が進行している可能性が高い
原発不明がんは、発見された時点で既に複数の臓器に転移しているケースが多く、治療が難しくなります。一般的ながんよりも早期発見が難しいため、診断時には進行がんであることが多いのが特徴です。転移が多い場合、手術が適用できないケースもあり、全身治療(抗がん剤治療や免疫療法など)が中心となります。
抗がん剤治療が体力低下につながる場合がある
原発不明がんの治療では、広範囲に効果を期待できる抗がん剤が使用されることが一般的ですが、患者の体力や免疫力を大きく低下させる可能性があります。特に高齢者や体力の低下した患者では、副作用が深刻な問題となることがあります。副作用として、吐き気、脱毛、倦怠感、免疫力の低下などがあり、これらが日常生活に大きな影響を及ぼすこともあります。
回復の見込みが悪いこともある
原発不明がんは、既に進行している状態で診断されるため、予後が悪いことが多いです。治療の選択肢が限られ、根治が難しい場合も少なくありません。そのため、より効果的な治療法の開発が求められています。5年生存率は他のがんと比べても低めであり、個々の患者に適した治療法をいかに選択できるかが鍵となります。
原発不明がんには、遺伝子治療という新しい選択肢
近年、原発不明がんの治療として注目されているのが「遺伝子治療」です。当院では、がん遺伝子診断によって遺伝子異常を特定し、その結果に基づいた個別化治療を提案できます。個々の患者さんに適した治療法を選択することで、より効果的な治療が可能になります。
従来治療と遺伝子治療の違い
従来のがん治療では、原発巣に基づいた標準的な治療が行われます。しかし、原発不明がんではこの方法が適用できません。一方、遺伝子治療は、原発巣を特定せずともがん細胞の特性に基づいた治療が可能になるため、より柔軟な治療戦略を立てることができます。
遺伝子治療の特徴
メリット|個別に適切な治療法が見つかる
遺伝子治療の最大のメリットは、患者ごとに異なるがん細胞の遺伝子異常を特定し、それに適した治療を選択できる点です。当院のがん遺伝子検査は現時点で268種類の遺伝子から異常の有無を調べることができ、その診断結果をもとに患者さん一人ひとりの適切な治療法を提案することが可能です。これにより、従来の治療よりも高い効果が期待できます。
デメリット|遺伝子変化がない場合治療法が限られる
原発不明がんの多くは、何らかの遺伝子異常を持っていますが、非常に稀なケースで遺伝子異常が見つからないことがあるかもしれません。しかし、その場合でも標準治療を終えた後の最終手段として、がん抑制遺伝子治療は有効です。
従来治療と遺伝子治療の併用も可能
遺伝子治療は、従来の治療と組み合わせて行うことも可能です。例えば、標準的な抗がん剤治療や放射線治療と並行して、遺伝子検査に基づいた治療薬を用いることで、より効果的な治療が期待できます。
遺伝子治療の治療手順
①採血による「がん遺伝子診断」の検査により遺伝子異常の特定を行います。
②「がん遺伝子診断」の遺伝子異常の結果に基づいて、薬剤(がん抑制遺伝子)の種類や投与量、治療期間を決定します。
③治療経過によっては治療中に「がん遺伝子診断」の検査を行ったり、薬剤の投与量の変更や治療方法の選択を変更する場合があります。
④通常は、遺伝子治療終了後の1ヶ月後に再度「がん遺伝子診断」の検査を行い、がん遺伝子治療の効果を判定します。
⑤遺伝子異常が改善しきれなかった場合、追加治療を行う場合もあります。
まとめ
原発不明がんは、発生部位を特定できないため、従来の標準治療が難しい病態です。しかし、遺伝子治療はがんの発生部位ではなく、遺伝子の変異を標的に治療を行うことができるため、がん遺伝子診断の結果に基づいて一人ひとりの患者さんに適した治療法を見つけることが可能となります。従来の治療と組み合わせることで、より効果的な治療も期待できます。お困りの方は一度当院にご連絡ください。