不整脈は治るのか
不整脈が治るかどうかご説明する前に、まず私たちの体の仕組みについてご説明します。
初めに、私たちの心臓は1日に約10万回収縮と拡張を繰り返しています。
1回の収縮で約70mlの血液を送り出すので1日に約5リットルの血液を全身に送りだすことになります。寝ている間も休みなく活動しており、24時間不眠不休です。しかも精密機械みたいに規則正しく動いています。
不整脈は体質?なぜ不整脈になるのか。
不整脈には、体質というより遺伝的なものがあります。
遺伝性不整脈として先天性QT延長症候群、Brugada症候群、カテコラミン誘発多形性心室頻拍、QT短縮症候群、早期再分極症候群などがあります。ひとつひとつの疾患の詳細は成書をご参照ください。
不整脈になる主な原因としては4つあります。
① 心臓自体の病気、冠動脈疾患、心臓弁膜症、心不全、先天性心疾患等
② 高血圧症、甲状腺の病気(甲状腺機能亢進、低下症等)COPD(慢性閉塞性肺疾患)等の呼吸器系の疾患
③ 薬剤、不整脈を治療するための一部の抗不整脈剤が、逆に不整脈を引き起こすこともある。一部の降圧剤、抗うつ薬、甘草が入ってる漢方薬等
④ 加齢、ストレス、睡眠不足、疲労、活性酸素による障害等
不整脈は一過性のもの?自然治癒するのか。
不整脈は一過性のものや持続性のものがあります。また突発的に起きることもあります。
慢性だと自覚症状がないことがあります。
一過性の場合だと普段の健診や診察で発見されないことがあり、24時間心電図 ホルター心電図でたまたま見つかることがあります。
不整脈でも呼吸性不整脈と呼ばれ、息を吸うと脈が速くなり、吐くと脈拍が遅くなる不整脈や、過度の緊張やストレスで起こり得る不整脈は、自然治癒することがあります。
不整脈は自力で治す、もしくは改善することができるのか
不整脈の種類、疾患にもよりますが、規則正しい生活、禁煙、アルコールを控えたり、リラックス、十分な睡眠で改善する不整脈もあります。
そもそも不整脈ってどんな状態?
不整脈とはどのような状態なのか、どんな症状があるのかご説明します。
身体の内部で起きている現象
不整脈は、よく脈の異常と思われがちですが心臓のリズム(調律)の異常のことです。
通常心臓は1分間に60から80回の規則正しいリズムで動き、右心房にある洞結節という場所でリズムが作られます。
洞結節から刺激電動系という経路を伝って心房から心室に伝導され心臓の拍動がはじまり血液が全身に送られます。
日常生活において生じること、自覚症状とは?
ドキドキする、脈が飛ぶ、息切れ、眩暈、息が苦しい、気を失うなどの症状です。
不整脈を放っておくと最終的にどうなる?
経過観察と言って様子を見ていても日常生活に問題がない不整脈と、致死性不整脈と言って直ちに治療しないと命に別状がある不整脈があります。
不整脈は心電図等で検査しないと、経過観察で問題ないのか、いずれ治療か、直ちに治療か判断しづらい点があります。
不整脈を治す治療について
不整脈は、治療によって治る可能性のある病気です。
以下、どんな治療法があるのか記載しております。
不整脈を治す治療はどんなものがある?
代表的なものに薬物治療、カテーテルアブレーション治療、ペースメーカー治療があります。
薬物治療
薬物治療には脈拍を整えたりリズムを正常に戻したりする抗不整脈治療薬があります。
甲状腺機能亢進や低下により、不整脈が起きている場合、基礎疾患の治療をすると不整脈が消失することがあります。
カテーテルアブレーションとは経皮的カテーテル心筋焼灼術と呼ばれていて、不整脈が起こる異常な回路や異常な部分に対してカテーテルを用いて焼灼や冷凍凝固を行うため、薬物治療ではコントロールできない不整脈に施行します。
適応の詳細については日本循環器学会のホームページ等を参照ください。
ペースメーカー治療は体の中に小さなジェネレーターという機械を植え込みます。
心臓の筋肉に電気信号を与え人工的に心臓を動かすことで拍動のリズムを補助する装置です。主に脈が遅くなる不整脈の治療に使われます。心臓再同期治療機能付き植込型除細動器(CRT-D)は、心臓を左右から電気で刺激して電気信号や収縮のタイミングのずれを調整する装置です。
心臓の状態の記録と電気ショックによる治療を行うICD(植込み型除細動器)の機能も持ち合わせています。
HICクリニックでオススメしている内容
不整脈は自覚症状がないこともあり、例えば心房細動と言って、心房のリズムが不規則におこる不整脈は高頻度に脳梗塞を起こすことがあり、慢性化している患者さんは全く症状がないことがあり、脳梗塞になり心電図をとったところ心房細動が見つかることも日常臨床であります。自覚症状がなくても40歳過ぎたら年に1回は心電図をとることをお勧めします。
また活性酸素は酸素の代謝過程によって生成される化学物質であり、細胞内での酸化ストレスや細胞損傷の原因となることがあります。不整脈においても、活性酸素が関与する可能性があります。以下に関連するポイントをまとめました。
① オキシダティブストレスと心筋細胞の機能:高い酸素消費量を持つ心筋細胞は、酸化ストレスに特に敏感です。活性酸素の蓄積は、心筋細胞の酸化ストレスを増加させ、細胞損傷を引き起こす可能性があり、それが不整脈の発生リスクを高めることがあります。
② イオンチャネルの異常:カリウムチャネルなど、重要な電気的な信号伝達に関与するイオンチャネルは、活性酸素によってダメージを受けることがあります。これにより、イオンの正確な流れが妨げられる可能性があり、心臓のリズムに影響を与え、不整脈を引き起こすことがあります。
③ 炎症反応と不整脈:活性酸素の存在は、炎症反応の促進を引き起こす可能性があります。炎症反応が慢性化すると、心臓組織の異常な電気活動を引き起こし、不整脈の発生を促すことがあります。
以上は一般的な関連性を示したものですが、具体的な不整脈の原因には個体差があります。
当院では活性酸素を除去する水素点滴を行っています。ご興味がありましたら一度ご相談ください。
まとめ
心臓は365日24時間働き続けています。それも精密機械みたいに規則正しく動きます。そのため少しでも不規則になったり止まったりすると、自覚症状がでることがあります。経過観察で良い不整脈か、積極的に治療をした方が良いか一度循環器の専門医師に相談されると良いでしょう。