腫瘍マーカーの数値
以前のコラム「腫瘍マーカーのCEA数値だけ高い場合は、癌の可能性が高いって事?」でも書いたように腫瘍マーカーとは、がんの種類によって特徴的に作られるタンパク質などの物質です。
がん細胞の数や、がん細胞が作る物質の量が多くなると値が高くなります。
しかし腎機能障害や肝機能障害、飲酒、喫煙などの生活習慣、常用薬、がん以外の疾患などの影響で、がんの有無とは無関係に高い値になることがあります。
反対にがんがあっても値が高くならないことがあるので、腫瘍マーカーの値だけでがんの診断は確定できません。そのため多くの腫瘍マーカーは、画像診断の結果や診察などと合わせて診断をすることになります。
腫瘍マーカーで見るべき数値はこれ
CEA
基準値は5.0ng/mlとされています。
CEAとは
大腸癌、胃癌、肺がん、乳癌、膵臓癌、甲状腺がんなどで値が上昇する腫瘍マーカーです。
消化管にできる癌は腫瘍マーカーの陽性率が高いと言われていますが加齢、喫煙、肝炎、膵炎などのように、炎症性の病気でも上昇しやすいので注意が必要です。
CA19-9
基準値は37.0U/mlとされています。
CA19-9とは
膵臓癌、胆道癌、卵巣がん、子宮体がん、乳癌などで上昇する腫瘍マーカーです。胆管炎、胆石症、慢性膵炎、子宮内膜症、卵巣嚢腫、気管支拡張症、糖尿病などの悪性疾患以外でも上昇しやすいので注意が必要です。
AFP
基準値は10.0ng/ml 以下とされています。
AFPとは
数値が上がる代表的な病気としては、肝細胞癌ですが肝炎、肝硬変でも上昇するため、他の検査での結果と合わせて診断します。
PSA
基準値は4.0ng/ml以下とされています。
PSA とは
加齢と共に上昇するため、4.0から10.0ng/mlがグレーンゾーンとされています。
前立腺に特異的にみられる腫瘍マーカーで高値の場合、前立腺癌、前立腺肥大症が疑われます。
CA125
CA125 基準35.0U/mL以下
CA125とは
婦人科系の疾患、特に卵巣がんや子宮がんの検査に用いられます。
乳癌、膵臓癌、肺がん、大腸癌などでも高値を示す事があり、子宮内膜症、良性卵巣腫瘍、子宮筋腫、急性膵炎でも値が上昇します。
癌の進行とともに腫瘍マーカーの陽性率、測定値が共に上昇するため治療効果の判定や再発予測にも用いられます。妊娠初期や月経時、閉経前などに一過性の上昇が見られます。
自分の検査結果で上昇した数値から読み解けること
上記で記載した通り、それぞれの項目によって関連する癌を知ることができたり、癌以外の身体の異変にも気づくことができます。
腫瘍マーカー数値が上昇したけど、どうしたらよい?
それぞれの基準値
上記に代表的な腫瘍マーカーの基準値を示している為、他の腫瘍マーカーの基準値については成書を参考ください。
生活改善でなんとかなる範囲、検査・治療が必要な範囲は?
腫瘍マーカーが高い数値だからと言って、必ずしも癌という事ではありません。
例えばCA19-9が高い場合でも、膵癌とは限らず、糖尿病の可能性もあります。
糖尿病であれば食事、運動の改善が基本になり、場合によっては内服治療、インスリン等の注射が必要になります。これらによって、血糖の改善と共にCA19-9が正常な値に戻ることがあります。
しかし、悪性疾患が疑われる場合は躊躇なく医療機関を受診し腫瘍マーカーを含む採血や画像診断(超音波検査、CT、PET―CT、MRI等)や診察による総合的な判断を医師に求める必要があります。
腫瘍マーカーの数値を正常にするための治療法は?
一般的な病院での治療法
腫瘍マーカーの高値の原因を医療機関で精査し、悪性疾患であれば標準治療(外科手術、化学療法、放射線)がメインとなります。しかし肝炎、膵炎、喫煙、糖尿病等のように、癌以外が原因で腫瘍マーカーの数値が高いのであれば、生活習慣の見直しが必要になります。改善方法としては、下記が挙げられます。
①健康的な食事:バランスの取れた食事として、新鮮な野菜、果物、良質のタンパク質、健康な脂質を含む食品を摂取し、加工食品や砂糖の摂取を最小限に抑えましょう。
②適度な運動:適度な運動は免疫機能を向上させる助けになり、体の代謝を促進します。毎日の運動習慣を取り入れましょう。
③睡眠の改善:十分な睡眠を確保することで体の回復力が高まり、免疫システムが正常に機能します。規則的な睡眠スケジュールを作り、質の高い睡眠を心掛けましょう。
④ストレスの管理:長期にわたるストレスは免疫システムに悪影響を及ぼす可能性があります。ストレスを軽減するためには、リラクゼーション法やストレス管理の技術(ヨガ、瞑想など)を取り入れることが有効です。
⑤禁煙・飲酒制限:喫煙や過度のアルコール摂取は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。禁煙や飲酒量の制限を心掛けましょう。
HICクリニックでオススメしている内容
当院では代表的な腫瘍マーカー採血以外に約200種類以上の遺伝子を検査し、癌状態、前癌状態であるかを診断し癌の超早期発見や、がん予防の為の治療をしています。
まとめ
腫瘍マーカーが高いと、もしかしたら癌なのではないか?と心配になりますが、早期の癌の場合は値が高くならないこともありますし、逆に癌なのに正常な数値が出る場合があるので、腫瘍マーカー単独での診断では確定できません。
検査を受けることにより、癌や癌以外の病気の発見につながることもあるので定期的に検査を受けることをおすすめします。