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飲酒と癌の関係は?お酒との関わり方からみる癌リスク

目次

こちらの記事の監修医師
HICクリニック院長/医学博士

飲酒が関係する癌は何?

飲酒とがんの関係については、世界保健機関(WHO)が、飲酒は口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肝臓がん、大腸がん、さらに女性の乳がんの原因となるとの評価を出しています。

WHOは、アルコール飲料中のエタノールと、その代謝産物のアセトアルデヒドの両者に発がん性があると認定しています。

お酒でリスクが高まる癌の種類

  • 頭頸部癌(頭頸部とは脳と目を除く首から上の全ての領域を差し、鼻、口、舌、のど(咽頭、喉頭)、気管)
  • 食道がん(扁平上皮がん)
  • 大腸がん、肝臓がん
  • 乳がん(閉経後)

お酒に強い人と弱い人で癌リスクは変わるの?

結論から言うと、お酒に強い人と弱い人で癌のリスクは変わります。

なぜなら、酵素の違いが癌リスクの違いに影響している事が言えるからです。

アルコールとアセトアルデヒドを分解する二つの酵素の働きが弱い人が飲酒家になると頭頸部・食道の発がんリスクが特に高くなります。

お酒に強い、弱いを決める要因

お酒の強い、弱いを決める要因は、アルコールをアセトアルデヒドに分解する酵素(ADH1B)と、アセトアルデヒドを酢酸に分解する酵素(ALDH)の働き方の違いです。

そもそもアルコールはアルコール脱水素酵素(ADH1B)の作用でアセトアルデヒトに分解され、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)の作用で酢酸へと分解されます。最終的には水と炭酸ガスに分解されて、体外に排出されます。

アルコールが分解されて、​​アセトアルデヒドが大量に増えた時だけ働くALDH1と、少量のアセトアルデヒドでもせっせと分解するALDH2の2種類があり、どちらを持っているかでお酒の強い弱いが決まります。

欧米人は多くがALDH2を持っており、少しでもアセトアルデヒドができるとすぐに酢酸まで分解することができるため、アセトアルデヒドの毒性にさらされないで済みます。

それに対して日本人の40%はALDH2の働きが弱いため、アセトアルデヒドの影響により飲酒すると顔が赤くなり、動悸、嘔気、頭痛がして2日酔いを起こしやすい体質と言えます。

このように、お酒の強い、弱いには酵素ADH1Bと、酵素ALDHの種類、働きによって決まると言えます。

強い人は癌リスクが低いのか?

同じアルコール摂取量であれば、お酒が強い人の方が癌リスクが低いと言えます。

お酒が強い人はアルコール脱水素酵素(ADH1B)の分解が早く、遅い人と比較すると、癌になりにくい可能性があります。

しかし、お酒が強い方は結果的にアルコールの量を多く摂取する事が多いため、アルコール性脂肪肝からアルコール性肝炎、肝硬変、肝臓がんになることがあります。

そのことで、お酒の強さよりも、長期間の飲酒量とがんに相関性が高いと言われています。

お酒との関わり方から見る癌リスク

飲酒によるアルコールの摂取量と摂取頻度は、発癌との関係が認められます。

特に、飲酒に喫煙が加わると相乗的に多発がんの危険性を高め、2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の働きが弱いと特に多発ガンが多く見られます。

ビール1杯で顔が赤くなる体質の方は約9割の確率でALDH2(アルデヒドロゲナーゼ2遺伝子)の働きが弱いタイプと言えるので、まずご自身がどのタイプかを知ることが大事です。

2型アルデヒド脱水酵素(ALDH2)の働きが弱い方は、例え少量でもがん発症リスクが高いことが最近の研究で分かっています。

普段飲まないが、定期的な飲み会で飲みすぎることがある

普段はアルコールを摂取していなくても、定期的(仮に1週間に1回)に飲みすぎると癌のリスクは当然上がります。

基本1日計算で、日本酒であれば1合、ビールであれば大瓶1本が癌リスクが上がるかどうかの基準量だと言われています。

普段飲まない事で、1日の平均摂取量は少なく感じますが、急なアルコールの過剰摂取によってアセトアルデヒドが酢酸に変わるまでの時間が遅れ、癌リスクが上がります。

よって、普段は飲まないからと言って定期的な飲み会で飲みすぎると癌リスクは上がります。

毎日晩酌をしているが飲み会などの機会は少ない。

毎日晩酌される方には、摂取量に注意が必要です。

摂取量が基準量を下回っていれば大幅にリスクが高まる危険性は低いと言えますが、もちろん飲まない方に比べると癌リスクは上がります。

普段の晩酌でもアルコールの摂取量を考慮する事が大事だと言えます。

普段飲んでいて、飲み会の機会も多い。

非常に注意が必要です。頻度、量においても基準量を大幅に上回る可能性が高いです。

前述から記載ありますが、アルコールとアセトアルデヒドには発がん性があります。

アルコールの摂取頻度が多く、摂取量も多いとなるとアルコールの分解に時間がかかり、アセトアルデヒドの毒性にさらされ続けることになります。

したがって、頻度、量の両面から見ても癌リスクは非常に高いと言えます。

それでもお酒を楽しみたい場合はどうしたらよい?

普段からお酒を飲む方にとって制限することは難しいと思います。

先ほどとは別の視点から、お酒とどのように向き合っていけば楽しめるのかを記載いたしました。

お酒の種類で癌リスクは違うのか

2017年米国臨床腫瘍学会(ASCO)はアルコールは口腔、咽頭がん、喉頭がん、食道がんなど複数のがんと因果関係があるとする声明を出しました。

がんの最も大きな要因は大量、長期間の飲酒で、適度な飲酒でも発がんリスクが上昇する可能性があると結論づけています。

アルコールの種類として、ビール、ワイン、スピリッツ、蒸留酒に拘らず飲酒は一貫して危険因子になると言われています。

癌リスクを上げない1日の飲酒量

日本人のためのがん予防法では節度のある飲酒が大切とした上で飲む場合は1日あたりアルコール量に換算して約23g程度として具体的に日本酒であれば1合、ビールなら大瓶(633ml)1本、焼酎泡盛原液で1合の2/3、ウイスキー、ブランデーはダブル1杯、ワインはグラスで2杯程度と言われていますが全く飲酒しない人を1とした場合、大量飲酒者の喉頭癌の発生リスクは2.56倍。

口腔、咽頭がんの発症リスクは5.13倍という結果が米国臨床腫瘍学会からでました。

癌リスクを避けるお酒の飲み方

喫煙をしないこと

上記に掲げたアルコール量を目安に野菜やお魚といった抗酸化作用のある食事を一緒にすることです。

また、空腹時の飲酒を避ける事、アルコールの分解を早めるために、水を一緒に飲む事なども挙げられます。

癌になりにくい身体を作る(がん予防)

HICクリニックでオススメしている内容

日本人のがんの中で男性の43.4%、女性の25.3%は生活習慣や感染が原因でがんになったと考えられています。

国立がん研究センターをはじめとする研究グループが、日本人を対象としたこれまでの研究から、がん予防にとって重要な要因を取り上げました。

日本人のためのがん予防法5+1です。

「禁煙する。節酒する。食生活を見直す。身体を動かし、適正体重を維持する。感染症の検査を受ける。」といった内容になります。

当院では、がん予防のためのがん遺伝子診断をはじめ、診断に基づく適切な遺伝子予防治療をミッションとして捉えております。

また、体の内側からがんの原因となる活性酸素を除去する水素点滴を行っております。

さらに、当院で行っている点滴では慢性膵炎予防の点滴もあります。

まとめ

お酒は昔から百薬の長と言われていましたが科学的根拠はなく、2018年にLansetという世界的に権威のある医学雑誌に掲載されたもので、195の国と地域で23のリスク検証した結果、健康への悪影響を最小化するなら飲酒量はゼロが良いと結論づけています。

このような研究は日進月歩であり、また時代と共に変遷する可能性がありますが、生活習慣はがん以外にも健康長寿のための基本です。

当院は251種類の癌関連遺伝子を独自に検出可能なラボを院内に有しており、がん状態、前癌状態、健康状態を遺伝子検査で診断し生活習慣をはじめ、癌になりにくくするための治療を日夜目指しております。

こちらの記事の監修医師

Picture of 平畑 徹幸

平畑 徹幸

HICクリニック院長 医学博士
平畑院長の紹介はこちら

■所属団体
日本内科学会、日本抗加齢医学会、一般社団法人 日本アンチエイジング外科学会、膵臓病学会、日本遺伝子診療学会、日本人類遺伝子学会、アメリカ人類遺伝学会、A4M「米国抗加齢学会」
■著書
『がん遺伝子診断・治療のススメ がん予防・治療の新しい選択肢』、『すい臓病の原因と予防―お腹・背中・腰がモヤモヤしたら…』他

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